銀行は決算書をどう見るのか⑤
次に見るのは、貸借対照表の負債の部です。負債の部で一番気になるのは、やはり借入金がどれくらいあるのか?という点になります。
前にもお話ししたと思いますが、事業を行うなかで発生する立て替えなどに対応するために必要な「経常運転資金」としての借り入れについてはよいのですが、それ以外の借入金がどれくらいあるのか?については非常に目を光らせることとなります。簡易キャッシュフロー(税引後当期純利益+減価償却費)で1年分の返済が出来るのか?という考え方で見るのもひとつですが、大まかなイメージで見る場合には、借入金の総額が売上高を超えていないかというのが目安となります。
銀行員の経験則なのでしょうが、売上高に近い、もしくは超えるような借り入れがある会社は、資金繰りも相応に厳しいというのが彼らの感覚のようです。
銀行が借入金に目が行くもう一つの理由としては、他の金融機関からの借り入れ状況が気になるからです。
銀行は自分たちがいくら融資しているかは分かりますが、他の銀行や信用金庫がいくら融資しているのかは決算書(実際のところは内訳書)を見なければわかりません。決算書を見ると他の金融機関がどれくらい融資をしているのかわかりますから、自分たちがもっと融資をしたい企業(メインバンクの地位にある企業など)に対して、シェアを奪われていないか?他の金融機関から新規参入されていないか?が非常に気になるのです。
他の金融機関の借入金残高やシェアが自分の銀行を上回っていた場合、融資の条件や情報提供の内容等で劣後しているのではという考えに至ることになり、銀行の営業面でも心穏やかならざる事態と言えるのです。
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