ここまでは貸借対照表の右側である純資産の部と負債の部について見てきましたが、続いては左側の資産の部について見て行きたいと思います。
資産の部でまず目が行くのは、現金預金勘定です。現金や預金の残高は日々変動していますし、貸借対照表上の残高は決算日の一時点のものに過ぎないのですが、それがどの程度の水準にあるかを見ることは、企業の資金繰りを推察するうえで非常に参考になります。
損益計算書における売上高を12で割った、平均月商の何か月分の現預金を保有しているか?という視点で見た場合、やはり3ヶ月程度の余裕はあったほうが良いとの判断をするのが一般的だと思います。別の考え方として、総資産の3割程度の現預金を持つべきだという考え方もありますが、業種間の差もありますし絶対的な正解はないでしょう。ただし、現預金について決算時点のものでも時系列で見ることで、その企業の適正な現預金の水準は見えてくるものですし、異常な増減について意識をすることで変化を読み取ることが出来ますから、現金預金勘定への目付は重要なポイントのひとつと言えるのです。
更に売掛金や商品の在庫が増えていないか、売上高に比して異常な水準ではないかという点も重要になります。売掛金や在庫の操作(架空計上)で利益の操作をする可能性もありますし、将来の売り上げに繋がる見込みのない商品を在庫として抱えていても、収益に結びつかないどころか資金繰りを圧迫する要因になりますから注意が必要となります。業種によっては、傷まない・陳腐化しないとの理由で大量の在庫を抱えているケースもありますが、やはり多額の借入金で凌いでいる場合が多く、過大な在庫で良いことはないように思います。
そのほかには、本業に直結しない資産はないかなども見て行きます。例えば貸付金や出資金などの勘定科目は影響を及ぼさない程度の水準であれば問題ないのですが、金額が大きい場合には融資判断にも影響を及ぼすようです。
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