前回お話ししましたように、銀行は顧客から預金を預かり、基本的にはその資金を元手に融資を行なっている訳ですから、融資した資金が帰ってこなければ顧客から預かった預金も返すことが出来なくなります。
これでは銀行だけでなく預金者にとっても非常に困ったこととなり、人々の金融仲介機能に対する不信感は増大、ひいては取り付け騒ぎにもなりかねない…などという状態はなんとしても避けねばなりませんので、普段から資産である貸出金の中身について目を光らせておく必要があるわけです。
そして銀行を含めた金融機関は、自行の資産が不良化によりどの程度の危険にさらされているのかを判定(資産査定)することが求められていて、金融機関自らが資産査定を行うことを自己査定と呼んでいます。
そしてこの自己査定を行った結果に基づいて、不良化した資産(貸出金)については償却を行ったり、今までの貸し倒れの実態等を勘案しながら、将来の貸し倒れに備えて貸倒引当金を積んだりします。
この償却や引当を行うためのベースとなるものが「債務者区分」と呼ばれるもので、融資先の財務状況・資金繰り・収益力等により返済の能力を判定して、融資先(債務者)をランク付けするものです。この債務者区分は金融庁から出されている「金融検査マニュアル」に規定されていて5段階に分かれています。
その5段階というのが、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」となっていて、「要注意先」については更に「その他要注意先」と「要管理先」に分かれています。
金融機関では全ての融資先に対してこの債務者区分を当てはめることになり、区分が下の取引先が多くなればなるほど、結果的に償却や引当の額が多くなるのです。
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