銀行は債務者区分を融資先の企業に付けるとともに、各金融機関独自のマニュアルに基づいて格付を付しています。このいわゆる「格付」は金融機関ごとに違っており、数字やローマ字を使って表されるようですが、債務者区分と格付は概ね連動しているので、銀行員が使う時も明確な使いわけのようなものはないようです。主に格付が複数に分かれている正常先については銀行の格付で、債務者区分と銀行格付が概ねリンクしている要注意先以下については債務者区分で、といった使い方のようです。
この融資先を格付した結果として、債務者区分が下方の取引先が多くなり、償却や引当が増えることになれば、必然的に銀行の収益を圧迫することになりますから死活問題です。
従いまして、業績が良好で財務内容にも特段の問題がない正常先に対しての融資は積極的になるのが当然ですし、業績が低調であったり不安定な債務者である要注意先に対しては、貸倒引当金を積まなければなりませんので、正常先よりも高い金利を要求される可能性が出てきます。加えて、保全のための担保を求められることもあるでしょう。
また要管理先以下の債務者については、将来的な倒産の可能性も高くなってくることが明白ですので、そのような取引先に対して新規の融資を取り組むことは非常に困難となります。
簡単に申しますと、債務者区分は、銀行が貸せる取引先かそうでないかを判定する基準になりますし、銀行の格付は、金利や担保などのその他の条件を判定する基準になっていると言うことです。(もちろんケースバイケースです。)
今までにお話しさせていただいたように、金融機関としても余分な貸倒引当金は積みたくはないはずです。既存の取引先で格上げが出来れば、負担は減少します。銀行に対して自社の格上げに有利な情報提供が出来るように、再度決算書を読み込んでみてはいかがでしょうか?
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