銀行は決算書をどう見るのか③
これまでは、銀行が売上高や各利益項目をどう見るのか?という点について話をしてきましたが、損益計算書を見るうえではもう1つポイントがあります。
それは、簡易キャッシュフローで、返済しなければならない借入金が何年で返せるのか?という視点です。
細かいことを言えば、キャッシュフロー計算書を作成したうえで、正確なキャッシュフローを把握した方がいいのですが、概算で把握する時には簡易キャッシュフローで問題ないと思います。
簡易キャッシュフローの計算式は、さまざまな計算方法で行われることもありますが、基本的には「税引後利益+減価償却費」となります。
要償還債務である「有利子負債ー経常運転資金ー現預金」を簡易キャッシュフローで割った「債務償還年数」が何年になるかというのが大切な指標となります。
要償還債務についてもう少し説明しますと、銀行からの借入金のうち、立て替えの発生など企業が正常な営業活動を行なっていくうえで恒常的に必要な借入金(経常運転資金)は、営業活動の継続により回収が見込まれるため、比較的リスクが低いと見なすことができるのですが、借入金から経常運転資金と、現預金相当分を差し引いたそれ以外の借入金については、税引後の当期純利益と費用計上しているものの、キャッシュアウトしていない減価償却費の合計でしか返済することが出来ないので、その金額が十分にあるのかが問題になってくるのです。
これに照らし合わせますと、債務償還年数が既に何十年となっている企業に対し、新規の融資を検討することは困難ですし、銀行からすれば、そもそも既存の借入金はしっかりと返済してもらえるのだろうか?という目で見ている訳ですから、残念ながら新たに設備投資を行うことも難しくなってしまうのです。
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