日立製作所に関して、今年の7月に「事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を起用する「ジョブ型雇用」を本体の全社員に広げる。管理職だけでなく一般社員も加え、新たに国内2万人が対象となる。」とのニュースが発表されるなかで、本当にジョブ型雇用が日本で定着するのか?という点が気になりました。
ジョブ型雇用というのは、企業が予め定義した職務内容(ジョブ)に基づいて、必要な人材を採用する制度のことです。職務内容は職務記述書(ジョブディスクリプション)に職務名称・目的・職務内容・責任・職務の範囲などが定義され、従業員はその職務記述書に沿った仕事が求められます。
ジョブ型雇用の対義語になっているのがメンバーシップ型雇用で、「仕事」に対して雇用されるのではなく、文字通り会社のメンバーになる雇用制度です。採用時には明確な職務は提示せず、採用後のジョブローテーションのなかで経験値を上げていくというもの。
いわゆる日本型雇用の代名詞ともいわれる「終身雇用」や「年功序列」「企業別組合」など、日本の経済成長を支えてきた仕組みに限界が見えつつあるなかで、「働き方改革」や「ダイバーシティ&インクルージョン」という概念も徐々に浸透する状況下、既存の概念を破壊する動きが出てくるのは至極当然のように思われます。
しかしながら、特に地方都市の中小企業にとっては、このジョブ型雇用の採用・管理面の負担がかなり大きなものになることは容易に想像できます。一方で、ベンチャー企業など新たな仕組みのなかで経営を進めていく企業にとっては、優秀な人材を確保するうえで、大きなチャンスでもあることでしょう。
現状打破の飛び道具として深い考えもなく取り組むことは避け、立場や状況をしっかりと見極めながら使い分けを行なっていく、そんな臨機応変な対応により、自社を是非飛躍させていただきたいと感じます。
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